旅行好きなソフトエンジニアの備忘録

プログラミングや技術関連のメモを始めました

Eye Tracking The User Experienceのまとめ - Chapter5

アイトラッキングは全ての質問に答えれるわけではない…

  • 行動に関する質問
    被験者は正しいリンクを選んだ?被験者は冊子から必要な情報を見つけた?
  • 容認に関する質問
    被験者は新しいデザインは既存のデザインより改善されたと思っている?そしてその理由は何故?被験者は製品を他の人に薦めたいと思っている?
  • 理解度に関する質問
    被験者はパッケージの説明書を理解した?ビデオから製品の長所を理解した?
  • 記憶に関する質問
    実験終了後にホームページに掲載された割引コード番号を覚えている?

上記の質問に回答するには被験者を観察し、インタビューする必要がある。

それでもアイトラッキングは知見を得るのに有効

アイトラッキングは被験者の行動と被験者のインタビュー結果のギャップを埋めるのに役立つ

被験者の行動やコメントに基づく知見 アイトラッキングから得られる知見 アイトラッキングがどのように問題の原因特定に役立つか
被験者は正しいリンクをクリックしなかった 被験者が関連したリンクを見たかどうか確認できる 被験者が見ていなかった場合、その要素は気付きにくいという問題を抱えていると考えられ、要素の配置や、要素もしくは要素周りのグラフィック関連に問題があると言える。被験者が見ていた場合、要素に分かりにくいラベルが使われている等の可能性がある
被験者は正しくタスクを終えたものの、タスクを終えるまでの時間が長かった 被験者がタスクを終えるまでに見た物を確認することができる 被験者が期待する位置と異なる位置に要素が置かれていたのかもしれない、もしくは他の要素が正しい要素を見つけることへの阻害となっているかもしれない

アイトラッキングと従来手法を組み合わせることは重要

  • 被験者が何を見たかは分かるが、何故見たのかは聞かなければ分からない
  • 被験者が見たことは分かるが、理解したのかは聞かなければ分からない
  • 被験者が見たことは分かるが、記憶しているかは聞かなければ分からない
  • 被験者がリンクを見たことは分かるが、何故クリックしなかったのかは聞かなければ分からない
  • (その他)アイトラッキングは示すのはユーザーが中心窩で見たもので、周辺視で見た可能性が否定できない

Eye Tracking the User Experience: A Practical Guide to Research

Eye Tracking the User Experience: A Practical Guide to Research

Eye Tracking The User Experienceのまとめ - Chapter4

質問を決めておく

リサーチの目的から更に具体的な質問に落とし込んでおく必要がある

例1:ホームページのリニューアル
全体の目的

新しいウェブサイトがどのように改善できるか知りたい

考えられる質問
  • ユーザーはホームページを見ることでウェブサイトの目的を認識できるか?出来なかった場合、それは何故か?(*)
  • ユーザーはウェブサイトにどんな印象を持つか?そしてどの要素がその印象を持たせたのか?(*)
  • ユーザーは主要なコンテンツに容易にアクセスできるか?出来なかった場合、何が障害となったか?(*)
  • ユーザーはホームページに表示されている割引券に気付くか?(*)
  • 気付いた場合、ホームページを見終えた後、割引券の事を覚えているか?
例2:処方薬のラベルのリニューアル
全体の目的

既存のラベルと比較して、新しいラベルは薬剤師のパフォーマンスにどう影響を与えるか調査したい

考えられる質問
  • 新しいラベルは、正しい薬のピックアップを改善するか?
  • 既存のラベルと比較して新しいラベルにより必要な情報は見つけやすくなるか?(*)
  • 新しいラベルは読みやすい、理解しやすいか?(*)
  • 薬剤師は新しいデザインは改善されたと感じるか?そしてそれは何故か?

上記の質問の内、(*)マークが付いた質問はアイトラッキングを利用することが助けになる。落とし込んだ質問の全てがアイトラッキングで解決できるわけではないことに注意が必要

被験者に見せるコンテンツの準備

アイトラッキングで得た知見を最終製品に適用したい場合、コンテンツはワイヤーフレームではなく最終製品に近い見た目のものを用意する必要がある。ただし、制約により代替品を用意せざるを得ない場合はある。例えば陳列してある製品に対してアイトラッキングする場合、本物が用意できないため、陳列されている製品の写真を大きめのモニタに映してテストするようなケースもある

被験者にコンテンツを見てもらう

コンテンツの見せ方

基本的にはWithin-Subjectsを採用すること

Between-Subjects Within-Subjects
定義 被験者は一人につき一つのコンテンツを見る 被験者は全てのコンテンツを見る
キャリーオーバー効果 無し 有り。被験者によりコンテンツを提示する順番を変える等の工夫が必要
セッション時間 短い 長い
被験者N数 Within-Subjectsよりも多くの被験者が必要 Between-Subjectsよりも少ない被験者で済む
比較可能か 被験者は一つのコンテンツのみ見るため、コンテンツ間の比較ができない コンテンツ間の比較が可能
Within-Subjectsの方が好まれる理由
  • 被験者のN数が少なくて済む
  • 同一被験者によるコンテンツの比較が可能
Within-Subjectsのデメリット
  • キャリーオーバー効果の影響を受ける(被験者毎にコンテンツ提示順番を変える等の工夫が必要)
  • 時間が長くなるため、被験者に疲れが出て視線の動きが本来と変わる可能性がある(コンテンツ間で休憩を入れる等の工夫が必要)

タスクを作成する

タスクのスコープを狭める
  • アイトラッキングは膨大なデータが溜まるため、解析の事を考えて時間のかかるタスクを分割することは有効。例えば興味の有る本を買うというタスクを、興味の有る本を見つけてもらう、その本を買ってもらう、と分割する等
  • タスクを分割すると、今被験者が何をしようとしているのか明確になり、分析が容易になる
  • タスクが短ければRVPを実施する際にもユーザーの記憶が鮮明である可能性が高い
    タスクを明確にする
  • 被験者がタスクを理解できていない場合、その人のデータは分析に利用できなくなる
  • タスクの終わりも明確にする必要がある。被験者間で終わりが一致していないとノイズデータが増える
  • 被験者にタスクを認識してもらうための一つの方法としては、まず口頭でタスクを伝え、その後指示表を渡して読んでもらい、質問があるかを確認する

Eye Tracking the User Experience: A Practical Guide to Research

Eye Tracking the User Experience: A Practical Guide to Research

【WPF】Ellipseの外側と内側に異なる透明度を指定する

WPFのEllipseの外側(Stroke)と内側(Fill)に異なる透明度を適用する方法をメモします。具体的には内側だけある透明度を適用したかったのですが、EllipseのOpacityを設定すると、StrokeもFillも透明になってしまいます。この問題はStrokeとFillに異なるBrushを割り当てることで解決できます。

var brushWithOpacity = new SolidColorBrush(Colors.Black);
brushWithOpacity.Opacity = 0.2;
var ellipse = new Ellipse()
{
    Width = 30.0,
    Height = 30.0,
    StrokeThickness = 5.0,
    Stroke = Brushes.Black,
    Fill = brushWithOpacity
};
MainCanvas.Children.Add(ellipse);

f:id:ni4muraano:20170309223201j:plain

参考サイト:c# - WPF shape different opacity for stroke and fill - Stack Overflow

【C#】 配列の中身ををシャッフルする

using System.Linq;

int[] array = new int[] { 0, 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9 };
int[] shuffledArray = ary.OrderBy(i => Guid.NewGuid()).ToArray();

参考サイト: 配列やコレクションをシャッフルする(ランダムに並び替える): .NET Tips: C#, VB.NET

Eye Tracking The User Experienceのまとめ - Chapter3

アイトラッカーのタイプ

  • アイトラッカーにはリモートタイプとウェアラブルタイプがある
  • リモートタイプは非接触で、被験者の前に固定して置かれる
  • ウェアラブルタイプは被験者の頭に装着して使う
リモート ウェアラブル
セットアップ 被験者の前に固定して置かれる 被験者の頭部に装着する
アプリケーション モニタの前で座る、もしくは一つの場所に立って行われるリサーチで使われる 被験者が動いて物に触れたり人とコミュニケーションを取る必要がある時に使われる
気になる度合い 被験者はあまりアイトラッカーを気にせずに済む 頭部に装着する、視界にアイトラッカーが一部入るため被験者が気にしやすい。衛生面、髪が乱れることから気にする被験者もいる|
動きの自由度 アイトラッカーが測定可能な範囲でしか頭部を動かせない。アイトラッカーと被験者の直線状に障害物があってはならない 被験者は自由に動いて良い。しかし、ほとんどのウェアラブルタイプのアイトラッカーはキャリブレーションを行った距離で最高精度となるため、近い物や離れた物に対しては測定精度が下がる
分析のし易さ ウェアラブルタイプのように次々にシーンが変わるということは無いため、静止画に対する解析は容易。動画やWebサイトのようにシーンが変化する場合は難易度が上がる 頭部の動き等に応じて次々シーンが変化するため難易度が高い

リモートタイプアイトラッカーの種類

  • リモートタイプはビルドインタイプとスタンドアロンタイプがある
  • ビルドインタイプはPCモニタに組み込まれている
  • スタンドアロンタイプはビルドインタイプと同じように使うことも出来るし、雑誌、新聞等の物理媒体に対する視線計測にも使うことができる
  • スタンドアロンの方が柔軟性が高いが、PCモニタに映る映像に対しての視線にしか興味が無ければ、セッティングの手間を考えればビルドインタイプの方が良い

リモート?ウェアラブル?どちらを購入すべき

  • アプリケーションによる。どちらでも問題無い場合はリモートを購入すべき

考慮すべきスペック

サンプリングレート

25 - 2000Hzと幅広いラインナップがある。一般的にUXリサーチでは50 - 120Hzの製品を選択する。これにより固視持続期間測定誤差を±10msec程度に抑えることができる(通常固視持続期間は0.1 - 0.5sec程度)。250Hz以上の製品は神経科学等で用いられるものであり、特殊用途と考えて良い

正確度と精度

正確度は0.5 - 1°のアイトラッカーが多い。1°の誤差とは68.6cmの距離からモニタを見た時に約1.3cmの誤差になる。精度は0.01 - 1°と幅広い。正確度や精度は理想環境下における数値のため、実際の環境下ではある程度下がることを想定した方が良い

頭部ボックスサイズ(リモートタイプのみ)

頭部ボックスサイズ内でしたアイトラッキングできないため、広い方が良い。典型的なスペックはW=30-44cm, H=17-23cm, D=20-30cm

片眼、両眼

両眼測定出来た方が良い。両眼測定できることにより、下記のメリットを享受できる。

  • 右目/左目の測定値の平均値を注視点とする
  • 片眼のトラッキングに失敗しても、もう一方の測定値を利用できる
  • ウェアラブルタイプにおいて、視差を補正する助けとなる
赤外光照射方式

Bright-Pupil Method

  • 比較的暗めの環境が得意
  • 茶色目よりも青色目の検出が得意

Dark-Pupil Method

  • 室内、外等の明るい環境が得意
  • まつ毛に瞳孔検出が邪魔されやすい
  • 青色目よりも茶色目の検出が得意

その他考慮すべきこと

  • 実はスペックは各社似たり寄ったりのため現時点ではそれ程重要ではない
  • 解析ソフトで何が出来るか。ソフトは定期的にアップデートされているか
  • メーカーに他社との差異ポイントやコンサル実績を直接訪ねる
  • 可能であれば購入予定のアイトラッカーを実際に使用している人にコンタクトを取る
  • 購入前にレンタルを頼んでみる

Eye Tracking the User Experience: A Practical Guide to Research

Eye Tracking the User Experience: A Practical Guide to Research

Eye Tracking The User Experienceのまとめ - Chapter2

アイトラッキングすべきか判断するための3つの質問

  1. アイトラッキングにより研究の目的に役立つ実用的な洞察が得られるか?
  2. 目的を達成するための手段としてアイトラッキングは一番単純な方法か?
  3. 研究は支援が必要か? 要は測定結果が次のアクションに繋がるかが重要

アイトラッキングから得られる知見

  • 定性的知見:製品ユーザビリティの問題を検知、説明できる
  • 例えばRVP(測定後に被験者と視線の軌跡を見ながら測定時に何を考えていたか聞く)を用いることで、使い難い箇所を特定できるような場合がある
  • 定量的知見:注視領域、パフォーマンスを測定できる

ユーザビリティの問題の検知

  • アイトラッキングの利点の一つは、他の方法では検知できない問題を検知できる可能性があること。例えばユーザーが正しいリンクをクリックできた場合、普通はUXに問題無しと判定され、被験者も何も報告しないと考えられる。しかし、正しいリンクをクリックする前に異なるリンクに視線が何度か往復していたとしたら、実はユーザーは迷っておりUXに問題があるかもしれないと考えることもできる
  • 上記の問題はアイトラッキングを使わなくても被験者のN数を増やすことで発見できる可能性は高まる。ただし、アイトラッキングを使えばN数がそれ程大きくなくても潜在的なUXの問題を検知できる可能性が高まる

ユーザビリティの問題の説明

アイトラッキングは以下のような質問を回答する助けになる

何故被験者は正しくないアクションを取ったのか

例えば被験者が期待するリンクをクリックしてくれなかったとする。もしアイトラッキングの結果、被験者がリンクを見ていなかった事が判明すれば、リンクの位置を変える、リンクをもっと目立たせる必要がある、等次のステップを考えることができる。被験者がリンクを見ていた場合、ラベリングに問題があるかもしれないと考えることができる

何故被験者は正しいアクションを取るのに時間を要したのか
何故被験者は書かれている情報を読み取れなかったのか

アイトラッキングによりグラフや表の分かりやすさを推定できる

パフォーマンスの違いの測定

  • あるUIと別のUIにおけるユーザーのパフォーマンス評価は例えばタスクを遂行するまでの時間を測る等の従来手法でも評価は可能。しかし、アイトラッキングを併用すれば従来手法で取得した結果のサポートデータとなる。例えば、アイトラッキングから得られた瞳孔径をNASA-TLX等の作業負荷アセスメントツールと併用する等

Attractionの違いの測定

アイトラッキングは以下のような質問に回答するための最適なツールである

  • どのパッケージが最も注意を惹くか?
  • どの広告や製品に一番初めに目が向くか?
  • どのバージョンのホームページが一番興味を惹くか?
  • どのコマーシャルが一番情緒反応を引き起こすか?

アイトラッキングの使いどころ

  • デザインプロセスの序盤ではなく後半の詰め(UIの微調整等)の部分が使いどころとなる
  • アイトラッキングは工数を要する。他の方法では問題を検知できないと思った時に利用する

Eye Tracking the User Experience: A Practical Guide to Research

Eye Tracking the User Experience: A Practical Guide to Research