Eye Tracking The User Experienceのまとめ - Chapter9
テスト環境の構築
照明
- 照明がアイトラッカーに干渉しないことを確認しておく
- 白熱電球や太陽光は赤外光を含んでおりアイトラッカーの精度に影響を与える可能性がある
- 窓が無い、もしくはブラインドがあり、蛍光灯が使われている部屋がベスト
干渉
- 被験者の視界に余計な物が入らないようにする
- 度々人が出入りするような部屋で試験を実施しない
椅子
- 動いたり回転しない椅子を選ぶ
- 高さ調整できる椅子を選ぶ
- オフィスチェアは通常の椅子よりも快適なため、被験者が試験中に自分の座っている位置を変える可能性が下がり、椅子の候補として良い
パイロットテスト
本番で起こりそうなトラブルを事前検知するためパイロットテストを実施することが望ましい。パイロットテストの目的は以下の通り。
- アイトラッカーや付随するソフトウェアの動作を事前確認できる
- 試験の流れが自然かどうか、タスクの支持が明確かを事前確認できる
- テスト担当者が事前に本番環境に慣れることができる
アイトラッカーのセットアップ
- アイトラッカーが瞳孔や角膜反射を検知しているか表示する機能を持っていれば、それを利用して設置位置を決める
- 測定を阻害する要因を把握しておく
要因 | 問題 | 解決策 |
---|---|---|
眼鏡 | 余分な反射が発生する。フレームの影が瞳孔検出の邪魔になる | カメラの設置角度を変えてみる |
コンタクトレンズ | レンズ内の空気の泡から余分な反射光が発生する | 僅かにピントをずらす |
マスカラ | 瞳孔の誤検出に繋がる | クレンジングしてもらう |
垂れたまぶた | 瞳孔を隠してしまう | アイトラッカーを下に移動させ、角度を付けて撮影する |
キャリブレーション
- キャリブレーションは各被験者毎に行う
- キャリブレーション時とテスト時の環境は同じでなければならない。例えば部屋の照明だったり、アイトラッカーと被験者の位置関係等
- もし被験者が椅子を前後に動かした(リモートタイプ)、アイトラッカーがずり下がった(装着タイプ)場合は再キャリブレーションが必要
- キャリブレーション後は正しくキャリブレーションできているか確認すべき。例えば特定の場所を見てもらい、測定値がその付近にあるかどうか検証する
- 複数回キャリブレーションを行っても期待した精度が得られない場合、その被験者にテストを実施しないか、キャリブレーションに問題があることを記録した上で測定を行う
- もしキャリブレーションが上手くできなかったエリアが重要な場所でない場合、例えばモニタの中心付近の視線が取得できれば良く、モニタの端付近で精度が出ないようなケースでは、そのまま測定を行っても良いかもしれない
試験中の被験者の目の動きの観察
- 試験中の被験者の目の動きを観察することで、測定値の消失や大きな誤差にその場で気付くことができる
- 問題が被験者側にある場合(例えば前屈みになった、椅子に深くもたれかかった)、再キャリブレーションを行い、被験者に注意を促す必要がある
- ただし、例えば前屈みになった理由がモニタのテキストが読み辛い等、コンテンツ側に問題がある場合は、そのデータを無かったことにするのではなく、コンテンツ側にフィードバックが必要
トラブルをログに残す
- 「測定中ソフトウェアがクラッシュしたため測定をやり直した」等のイベントはログに残しておく
Eye Tracking the User Experience: A Practical Guide to Research
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