Eye Tracking The User Experienceのまとめ - Chapter11
データの可視化
グラフの種類
グラフの種類 | 対象 | 形式 | データタイプ |
---|---|---|---|
Gaze Plot / Scanpath | 個人 | 静止画 | 空間/時間 |
Gaze Video | 個人 | 動画 | 空間/時間 |
Bee Swarm | 個人/集計 | 動画 | 空間/時間 |
Heatmap | 集計 | 静止画 | 空間 |
Focus Map / Gaze Opacity Map | 集計 | 静止画 | 空間 |
Dynamic Heatmap | 集計 | 動画 | 空間/時間 |
Gaze Plots / Scanpaths
- 固視をドット、サッカードを線で表す
- ドットの大きさで固視していた時間を表現する(固視の時間が長ければドットを大きくする)
- ドットの中心に番号を書き、固視の順番を表現する
- コンテンツが動的コンテンツを含む場合、逐次コンテンツを記録する必要がある
- Gaze Plotsはユーザビリティの問題を検知したり説明するため、被験者がどのようにモニタを見ていたか、といった定性分析に主に使われる
- 定性分析だけでなく、何回固視があったか/平均固視時間を例示するためにも時々利用される
Gaze Videos
- 視線の動きを動的に表現する
- テスト中にリアルタイムでGaze Videoを観察することで洞察を得ることができ、テスト終了後に被験者により深い質問ができる
- テスト中にGaze Videoを観察することが出来ない場合でも、後からGaze Videoを見返すことで何らかの知見を得ることができるかもしれない
Bee Swarms
- 被験者グループの固視位置を時間軸に沿って一度に小さなドットで表現する
- 期待する視覚効果が得られているか確認するのに利用できる
- 全ての被験者が同じコンテンツを同じタイミングで見ている必要がある
Heatmaps
- 静的コンテンツに対する固視の頻度を色で表す
- 個人にも適用できるが、被験者の集計データに対して適用する方が役に立つ
- 個人、時間情報を表さないため、定性分析で利用が制限される
- 定量分析で正確な数字を出す場合にも利用が制限される
Heatmapのタイプ
内容 | 制約 | |
---|---|---|
Fixation Count Heatmap | 固視回数が多い箇所の色を赤くする。回数基準のため、100msecの固視と900msecの固視を同等に扱う | 1. 同じ色でも固視時間は異なる。 2. 同じ色でも見た人数は異なる。 3. 被験者毎のテスト時間が異なる場合は、テスト時間が長い被験者に重みがかかる |
Absolute Gaze Duration Heatmap | 固視時間の多い箇所の色を赤くする | 1. 同じ色でも見た人数は異なる。 2. 同じ色でも見た回数は異なる。 3. 被験者毎のテスト時間が異なる場合は、テスト時間が長い被験者に重みがかかる |
Relative Gaze Duration Heatmap | 試験時間に対する固視時間の割合の多い箇所の色を赤くする | 1. 同じ色でも見た人数は異なる。 2. 同じ色でも固視回数は異なる。 |
Heatmapの使いどころ
- Heatmapで概要を掴み、何を深堀すべきか仮説を立てるのに役立つ
- 視覚に訴えるため、プレゼンに利用すると効果的。ただし、Heatmapが根拠や発見の説明に役立つ場合のみ提示すること。例えばユーザビリティの問題を説明したい時はHeatmapよりもGaze plotsの方が有用なことが多い
Heatmapの見た目の変更
- 固視周辺のカーネルサイズを変える
- カラースケールの上限を変える(例えば何回以上固視した場合を赤色とする等)
Heatmapの見た目を変える場合のルール
- 統計的に重要な差異が見られる箇所が区別できるような閾値を設定すること。例えばAOI1が10回見られており、AOI2が20回見られていた場合に閾値を10と設定してしまうと、AOI1, 2共に赤く表現されてしまう
- Heatmapを比較する場合は設定を同じにすること
- 閾値等の設定値をHeatmapに記載すること
Eye Tracking the User Experience: A Practical Guide to Research
- 作者: Aga Bojko
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- 発売日: 2013/12/12
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Eye Tracking The User Experienceのまとめ - Chapter9
テスト環境の構築
照明
- 照明がアイトラッカーに干渉しないことを確認しておく
- 白熱電球や太陽光は赤外光を含んでおりアイトラッカーの精度に影響を与える可能性がある
- 窓が無い、もしくはブラインドがあり、蛍光灯が使われている部屋がベスト
干渉
- 被験者の視界に余計な物が入らないようにする
- 度々人が出入りするような部屋で試験を実施しない
椅子
- 動いたり回転しない椅子を選ぶ
- 高さ調整できる椅子を選ぶ
- オフィスチェアは通常の椅子よりも快適なため、被験者が試験中に自分の座っている位置を変える可能性が下がり、椅子の候補として良い
パイロットテスト
本番で起こりそうなトラブルを事前検知するためパイロットテストを実施することが望ましい。パイロットテストの目的は以下の通り。
- アイトラッカーや付随するソフトウェアの動作を事前確認できる
- 試験の流れが自然かどうか、タスクの支持が明確かを事前確認できる
- テスト担当者が事前に本番環境に慣れることができる
アイトラッカーのセットアップ
- アイトラッカーが瞳孔や角膜反射を検知しているか表示する機能を持っていれば、それを利用して設置位置を決める
- 測定を阻害する要因を把握しておく
要因 | 問題 | 解決策 |
---|---|---|
眼鏡 | 余分な反射が発生する。フレームの影が瞳孔検出の邪魔になる | カメラの設置角度を変えてみる |
コンタクトレンズ | レンズ内の空気の泡から余分な反射光が発生する | 僅かにピントをずらす |
マスカラ | 瞳孔の誤検出に繋がる | クレンジングしてもらう |
垂れたまぶた | 瞳孔を隠してしまう | アイトラッカーを下に移動させ、角度を付けて撮影する |
キャリブレーション
- キャリブレーションは各被験者毎に行う
- キャリブレーション時とテスト時の環境は同じでなければならない。例えば部屋の照明だったり、アイトラッカーと被験者の位置関係等
- もし被験者が椅子を前後に動かした(リモートタイプ)、アイトラッカーがずり下がった(装着タイプ)場合は再キャリブレーションが必要
- キャリブレーション後は正しくキャリブレーションできているか確認すべき。例えば特定の場所を見てもらい、測定値がその付近にあるかどうか検証する
- 複数回キャリブレーションを行っても期待した精度が得られない場合、その被験者にテストを実施しないか、キャリブレーションに問題があることを記録した上で測定を行う
- もしキャリブレーションが上手くできなかったエリアが重要な場所でない場合、例えばモニタの中心付近の視線が取得できれば良く、モニタの端付近で精度が出ないようなケースでは、そのまま測定を行っても良いかもしれない
試験中の被験者の目の動きの観察
- 試験中の被験者の目の動きを観察することで、測定値の消失や大きな誤差にその場で気付くことができる
- 問題が被験者側にある場合(例えば前屈みになった、椅子に深くもたれかかった)、再キャリブレーションを行い、被験者に注意を促す必要がある
- ただし、例えば前屈みになった理由がモニタのテキストが読み辛い等、コンテンツ側に問題がある場合は、そのデータを無かったことにするのではなく、コンテンツ側にフィードバックが必要
トラブルをログに残す
- 「測定中ソフトウェアがクラッシュしたため測定をやり直した」等のイベントはログに残しておく
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Eye Tracking The User Experienceのまとめ - Chapter10
データ分析までの手順
- 固視と見なす基準を決める
- AOIを決める
- 測定値を取り出す
- データクレンジングを行う
- データを分析する
固視を特定する方法
- 位置基準と速度基準がある
- 位置基準の場合、最大偏差(0.5~1.5°)、最小固視時間(70~100msec)を設定する
- 速度基準の場合、最大速度(20~30°/s)、最小固視時間(70~100msec)を設定する(サッカードの最低速度が30°/sのため)
- Holmqvistによれば速度基準を採用した方が良い。位置基準はサンプリングレート200Hz以下の装置でのみ向いている
- 固視の基準を設定したら、比較できるようその基準を全ての被験者に適用しなければならない
AOIについて
- AOIの最小サイズは1inch x 1inchが望ましく、更にパディングを加えることが望ましい
- AOIにパディングを加えることでアイトラッカーの誤差を吸収できる
測定値の取り出し
- エクセル等にデータを出力することでデータクレンジングが容易になる
データクレンジング
データの破棄を考慮しなければならないケース
- アイトラッカーのキャリブレーションにミスがあり測定結果が信用できない
- 視線捕捉率が一定値以下(例えば70%)
- 測定結果に偏りが出来ている。例えばまぶたが垂れている被験者で、画面上部の視線は測定できるが、画面下部の視線が上手く測定できなかった場合、被験者は画面上部ばかり見ていると勘違いしてしまう。
- 他の被験者と比較して特定の被験者の視線の動きが明らかに異なる場合(被験者が測定の目的を理解していない時等に発生しうる)
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Eye Tracking The User Experienceのまとめ - Chapter7
データの解釈は目的と見るものに依存する
- 「被験者がある対象物を長時間見ていた場合、それは何を意味するの?」と聞かれることがあるが、「何を何故見ていたのかによる」としか答えることができない
- 例えば「固視が発生した回数が多かった」という観察結果が出たとして、被験者がWebページから"Contact Us"を探しているような状況であれば、"Contact Us"を見つけにくかったと考えられ、観察結果はマイナスの意味として捉えることができる。しかし、被験者がオンラインフォトアルバムを見ているような状況であれば、興味を惹く写真が多かったと考えられ、観察結果をプラスの意味として捉えることができる
UXリサーチにおける(単純化した)測定の種類
1. Attractionの測定
エリアの見やすさ、理解しやすさの測定
エリアのサイズ、位置、場所、被験者の過去の経験等が影響を与える
パラメータ例
- あるAOIを見た被験者の割合
- あるAOIを見るまでの固視回数
- あるAOIを見るまでにかかった時間
エリアの興味の測定
- あるAOIでの固視回数
- あるAOIに滞留したトータルの時間(必ずしも滞留時間が長い=興味があるではない事に注意!単に理解に時間がかかっただけかも)
- あるAOIを見ていた割合(被験者毎のテスト時間が異なる場合に有効)
感情の高まりの測定
- 瞳孔径(必ずしも瞳孔径が大きい=感情が高まっているではないことに注意!部屋の明るさや精神的な作業負荷にも影響される)
2. パフォーマンス測定
作業負荷の測定
- 瞳孔径
認識過程の測定
- 平均固視時間
ターゲットの見つけやすさの測定
- ターゲットを固視した被験者の割合
- ターゲットを初めて見るまでに発生した固視回数
- ターゲットを初めて見るまでに要した時間
ターゲットの認識しやすさの測定
- ターゲットを選択するまでにターゲットを見た回数
- ターゲットを初めて選択するまでに要した時間
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Eye Tracking The User Experienceのまとめ - Chapter5
アイトラッキングは全ての質問に答えれるわけではない…
- 行動に関する質問 被験者は正しいリンクを選んだ?被験者は冊子から必要な情報を見つけた?
- 容認に関する質問 被験者は新しいデザインは既存のデザインより改善されたと思っている?そしてその理由は何故?被験者は製品を他の人に薦めたいと思っている?
- 理解度に関する質問 被験者はパッケージの説明書を理解した?ビデオから製品の長所を理解した?
- 記憶に関する質問 実験終了後にホームページに掲載された割引コード番号を覚えている?
上記の質問に回答するには被験者を観察し、インタビューする必要がある。
それでもアイトラッキングは知見を得るのに有効
アイトラッキングは被験者の行動と被験者のインタビュー結果のギャップを埋めるのに役立つ
被験者の行動やコメントに基づく知見 | アイトラッキングから得られる知見 | アイトラッキングがどのように問題の原因特定に役立つか |
---|---|---|
被験者は正しいリンクをクリックしなかった | 被験者が関連したリンクを見たかどうか確認できる | 被験者が見ていなかった場合、その要素は気付きにくいという問題を抱えていると考えられ、要素の配置や、要素もしくは要素周りのグラフィック関連に問題があると言える。被験者が見ていた場合、要素に分かりにくいラベルが使われている等の可能性がある |
被験者は正しくタスクを終えたものの、タスクを終えるまでの時間が長かった | 被験者がタスクを終えるまでに見た物を確認することができる | 被験者が期待する位置と異なる位置に要素が置かれていたのかもしれない、もしくは他の要素が正しい要素を見つけることへの阻害となっているかもしれない |
アイトラッキングと従来手法を組み合わせることは重要
- 被験者が何を見たかは分かるが、何故見たのかは聞かなければ分からない
- 被験者が見たことは分かるが、理解したのかは聞かなければ分からない
- 被験者が見たことは分かるが、記憶しているかは聞かなければ分からない
- 被験者がリンクを見たことは分かるが、何故クリックしなかったのかは聞かなければ分からない
- (その他)アイトラッキングは示すのはユーザーが中心窩で見たもので、周辺視で見た可能性が否定できない
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Eye Tracking The User Experienceのまとめ - Chapter4
質問を決めておく
リサーチの目的から更に具体的な質問に落とし込んでおく必要がある
例1:ホームページのリニューアル
全体の目的
新しいウェブサイトがどのように改善できるか知りたい
考えられる質問
- ユーザーはホームページを見ることでウェブサイトの目的を認識できるか?出来なかった場合、それは何故か?(*)
- ユーザーはウェブサイトにどんな印象を持つか?そしてどの要素がその印象を持たせたのか?(*)
- ユーザーは主要なコンテンツに容易にアクセスできるか?出来なかった場合、何が障害となったか?(*)
- ユーザーはホームページに表示されている割引券に気付くか?(*)
- 気付いた場合、ホームページを見終えた後、割引券の事を覚えているか?
例2:処方薬のラベルのリニューアル
全体の目的
既存のラベルと比較して、新しいラベルは薬剤師のパフォーマンスにどう影響を与えるか調査したい
考えられる質問
- 新しいラベルは、正しい薬のピックアップを改善するか?
- 既存のラベルと比較して新しいラベルにより必要な情報は見つけやすくなるか?(*)
- 新しいラベルは読みやすい、理解しやすいか?(*)
- 薬剤師は新しいデザインは改善されたと感じるか?そしてそれは何故か?
上記の質問の内、(*)マークが付いた質問はアイトラッキングを利用することが助けになる。落とし込んだ質問の全てがアイトラッキングで解決できるわけではないことに注意が必要
被験者に見せるコンテンツの準備
アイトラッキングで得た知見を最終製品に適用したい場合、コンテンツはワイヤーフレームではなく最終製品に近い見た目のものを用意する必要がある。ただし、制約により代替品を用意せざるを得ない場合はある。例えば陳列してある製品に対してアイトラッキングする場合、本物が用意できないため、陳列されている製品の写真を大きめのモニタに映してテストするようなケースもある
被験者にコンテンツを見てもらう
コンテンツの見せ方
基本的にはWithin-Subjectsを採用すること
Between-Subjects | Within-Subjects | |
---|---|---|
定義 | 被験者は一人につき一つのコンテンツを見る | 被験者は全てのコンテンツを見る |
キャリーオーバー効果 | 無し | 有り。被験者によりコンテンツを提示する順番を変える等の工夫が必要 |
セッション時間 | 短い | 長い |
被験者N数 | Within-Subjectsよりも多くの被験者が必要 | Between-Subjectsよりも少ない被験者で済む |
比較可能か | 被験者は一つのコンテンツのみ見るため、コンテンツ間の比較ができない | コンテンツ間の比較が可能 |
Within-Subjectsの方が好まれる理由
- 被験者のN数が少なくて済む
- 同一被験者によるコンテンツの比較が可能
Within-Subjectsのデメリット
- キャリーオーバー効果の影響を受ける(被験者毎にコンテンツ提示順番を変える等の工夫が必要)
- 時間が長くなるため、被験者に疲れが出て視線の動きが本来と変わる可能性がある(コンテンツ間で休憩を入れる等の工夫が必要)
タスクを作成する
タスクのスコープを狭める
- アイトラッキングは膨大なデータが溜まるため、解析の事を考えて時間のかかるタスクを分割することは有効。例えば興味の有る本を買うというタスクを、興味の有る本を見つけてもらう、その本を買ってもらう、と分割する等
- タスクを分割すると、今被験者が何をしようとしているのか明確になり、分析が容易になる
- タスクが短ければRVPを実施する際にもユーザーの記憶が鮮明である可能性が高い
タスクを明確にする
- 被験者がタスクを理解できていない場合、その人のデータは分析に利用できなくなる
- タスクの終わりも明確にする必要がある。被験者間で終わりが一致していないとノイズデータが増える
- 被験者にタスクを認識してもらうための一つの方法としては、まず口頭でタスクを伝え、その後指示表を渡して読んでもらい、質問があるかを確認する
Eye Tracking the User Experience: A Practical Guide to Research
- 作者: Aga Bojko
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【WPF】Ellipseの外側と内側に異なる透明度を指定する
WPFのEllipseの外側(Stroke)と内側(Fill)に異なる透明度を適用する方法をメモします。具体的には内側だけある透明度を適用したかったのですが、EllipseのOpacityを設定すると、StrokeもFillも透明になってしまいます。この問題はStrokeとFillに異なるBrushを割り当てることで解決できます。
var brushWithOpacity = new SolidColorBrush(Colors.Black); brushWithOpacity.Opacity = 0.2; var ellipse = new Ellipse() { Width = 30.0, Height = 30.0, StrokeThickness = 5.0, Stroke = Brushes.Black, Fill = brushWithOpacity }; MainCanvas.Children.Add(ellipse);
参考サイト:c# - WPF shape different opacity for stroke and fill - Stack Overflow